中古車販売大手ビッグモーターの自動車保険金不正請求問題が世間を大きく騒がしている。中身を知れば知るほど酷い実態である。テレビCMでは明るい元気な会社イメージに感じる。社長の兼重宏行氏は小さな修理工場から国内最大手の中古販売会社に育てた立志伝中の人物である。株式上場はしていないが売上5200億円の大企業である。だが大企業の組織としては全くのお粗末だ。昭和時代に多くあった超ブラック企業体質のままである。ブラック企業とは不正なことをすることではなく、過酷な仕事実態のことであり、昭和戦後の企業は殆どブラック企業といっても差し支えないと思う。我々の祖父母、父母は生きる為に寝食忘れて働き、戦後廃虚の中から、あっと言う間に世界第2位の経済大国に押し上げ、奇跡の大復興を成し遂げたのである。

 先日、社長の記者会見があった、火に油を注ぐ内容であった。誰が観ても「それはないでしょう‼」とツッコミを入れたくなる会見であった。経営陣は関与せず、現場の人間が起こした問題であり、組織ぐるみで不正は働いていないと明言していた。責任を社員に転嫁するのは経営者としては失格だ。思わず笑ってしまったのは、ゴルフボールを靴下に入れて車を傷つける行為に「ゴルフを愛する人に対しての冒涜である」と言っていた。だったら野球バットで車を傷つけたら、「野球を愛する人に対しての冒涜」なのだろうか？違うだろう！愛車を信頼してビッグモーターに預けた人と車に対しての冒涜だろう！恐怖政治で従業員に過酷なノルマを課せ不正温床の元凶をつくった社長の長男、副社長は謝罪会見場に姿を見せなかった。将来社長に据えるなら,おそらく厳しい質問が飛び交うこの修羅場の会見場を経験させるべきだ。会見の終盤に記者から「辞任した社長の復帰はありまか？」と質問されて   社長「ありません」記者「副社長の復帰はありますか？」社長「・・・今のところはありません」と歯切れ悪く返答。裏返して聞けば将来は復帰しますと言っている様なものである。当初、不正請求で被害者だと思われていた保険会社も、何やらキナ臭い。一番不正請求の多い板金塗装の責任者が損保ジャパンからの出向者だという。不正請求を見抜けない筈がない。ある程度捜査が進めば解明すると思うが、お互い馴れ合い癒着があったのではと疑ってしまう。今回の不正問題を端に色々な問題も噴出してきている。ビッグモーター社は大きな代償を支払わされる事になるだろう。一番大きな代償は信用を失くしたことである。これはお金では取り戻せない。我々も他人事でなく常に驕らず、油断せず、誠実に仕事に取り組事が大切で、不正なことをすれば必ず天罰が下ることを肝に銘じなければならない。